2015/07/16
2015年07月16日 09時00分 更新
ダイキンは上水道の水流エネルギーを利用して発電する、管水路用マイクロ水力発電システムの実用化に向け、2015年7月30日から福島県相馬市の浄水場で実証運転を開始する。発電出力は最大71.4kW、年間発電量は619MWhを見込んでいる。
[陰山遼将,スマートジャパン]
小水力発電は太陽光発電や風力発電など、他の再生可能エネルギーによる発電設備と比較して設置に必要なスペースが小さくて済む。しかし小さな水力 を利用する100kW(キロワット)以下の小水力発電設備の場合、発電規模に対して導入コストが高くなってしまい事業としての採算が取りにくいという課題 がある。日本は水資源に恵まれており、この課題をクリアすれば小水力発電の導入拡大が見込めるだろう。
そこでダイキンは環境省が実施する「CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」への採択を受け、低コストかつ狭小な縦型管水路にも設置可 能なマイクロ水力発電システムの開発と実証を進めている(図1)。今回取り組む南相馬市での実証は、2014年に富山県南砺(なんと)市で行った実証に続 く2件目。実証場所は相馬地方広域水道企業団が管理する「大野台浄水場」で、実証期間は2015年7月30日~同年12月末を予定している。
ダイキンが開発を進める管水路用マイクロ水力発電システムは、発電機とコントローラーを一体化している。これを配管に接続した水車の上に配置する 設計となっているため、必要な設置面積を大幅に削減できる点が特徴だ。これまで設置が難しかった既存水道施設の狭小箇所にも設置が可能で、工事費用も抑え られるというメリットがある。
同発電システムは最大出力が22kWと同75kwの2種類の開発を進めている。設備利用率を70%とした場合、22kWの発電システムの最大年間発電量は135MWh(メガワット時)、75kWの発電システムは同460MWhの発電能力になるという。
2014年に南砺市で行った実証では22kWのシステムを利用しているが、今回の大野台浄水場では22kWと75kWの両方を設置する。2つのシ ステムを組み合わせ、設置場所の水力に応じて効率良く発電を行う狙いだ。実証場所の最大有効落差、最大流量条件に基づく推定では、2つのシステムを合わせ た最大出力は71.4kW、最大年間発電量は一般家庭172軒分に相当する619MWhを見込んでおり、実証では実使用環境における発電能力の検証を行 う。
ダイキンは管水路用マイクロ水力発電システムの開発に、同社の空調事業と油圧機器事業で培ったモーター技術やインバーター技術を活用している。さ らに空調設備における使用電力の見える化や遠隔操作・監視の技術も活用。インターネットを利用した小水力発電システムの維持管理を可能にしてメンテナンス コストを削減しやすくしている。同社はこうした実証でノウハウを蓄積し、管水路用マイクロ水力発電システムを全国に展開していきたい考えだ。
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1507/16/news030.html
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