2015/06/20
鳥取県が2012年から建設を進めていた小水力発電所「下蚊屋発電所」が完成し、2015年7月3日から売電を開始する。同発電所により売電収入を獲得する他、災害時には山間地域の無停電に貢献する。
[三島一孝,スマートジャパン]
今回新たに小水力発電所を建設する下蚊屋ダムは、農業用水確保のため江府町下蚊屋地区の日野川水系俣野川に農水省が建設したもの。ナシや白ネギな どの農家が多くあるものの水不足に悩むケースの多かった鳥取県大山地区に対し、同ダムから300~900ミリメートルのパイプを40.2キロメートル通 し、水を送り込んでいる。下蚊屋ダムの大きさは、長さが210メートル、高さが55メートルで、貯水量は386万トンある。
多くの農家を救ったこの下蚊屋ダムだが、今度はこの水を使い、エネルギー面でも地域を救うことになる。それが同ダムに建設された小水力発電所「下 蚊屋(さがりかや)発電所」だ。落差50メートルの水流を利用して発電能力は197kWになる(図1)。年間の発電量は150万kWh(キロワット時)を 想定している。
新設された発電所は、鳥取県の「再生可能エネルギーによる災害時集落無停電サービス」のモデル事業の一環として建設されたもので、同発電所を中心 に鳥取県江府町の助沢地区、下蚊屋地区において災害などによる停電発生時でも電力系統の完全復旧までに必要最小限の電力供給を行う「災害時無停電システ ム」を構築する(図2)。
同発電所の運営は大山山麓地区土地改良区連合が行う。通常時は同発電所の電力は中国電力に売電し、得られる売電収入は、大山山麓地区土地改良区連合が管理する土地改良施設の維持管理費に充てるという(図3)。
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1506/19/news044.html