2015/3/6 05:30
限界集落が生活に必要なエネルギーを自給自足-。4世帯8人のみが山あいに暮らす兵庫県洲本市の千草竹原集落で、農業用水を活用した小水力発電施設が2 月から試運転を始めた。大学研究者らと共同で開発し、街灯などの電源に活用。地元住民は“廃村危機”からの再生につなげたい考えで、3月下旬には見学イベ ントを催す。
(佐藤健介)
中心市街地から約6キロ南、曲がりくねった山道を抜けた先に位置する同集落は極端な過疎化に悩み、荒廃した里山の保水力低下で水害も招きかねない。
人を呼び込むための第一歩として、自然エネルギーを生かした生活環境を整えようと、洲本市と活性化協定を結ぶ龍谷大学(京都市)が連携し、小水力発電施設を整備した。
機器は同大学研究者らが立ち上げた再生エネルギー設備会社が開発し、2月15日に試運転を開始。山の斜面に渡したパイプを通って、水が約4・5メートル下に勢いよく流れ落ち、水車の羽根を押し回すことで電気が起こる。
出力は120ワットで蓄電機能も備え、街灯や防犯カメラ、フットライト、災害時の非常電源などに利用。羽根を回し終えた排水は水に弱い特定外来生物「ナルトサワギク」を駆除するなど、生態系保全にも役立つ。近く本格稼働する予定だ。
「夜は真っ暗闇だった場所が明るくなり、安心度が増した」と喜ぶのは、町内会長で集落最年少の太田明広さん(57)。「限界集落活性化へのチャレンジ。将来的には農地を囲う電柵に用いるなど、獣害対策も進めたい」と意気込んでいる。
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小水力発電施設の見学イベントは3月29日午前11時~午後4時に開催。観光農園「源流の郷・あわじ花山水」でシイタケの菌打ちを体験し、お花見ランチや龍谷大学生によるバンドと吹奏楽の演奏も楽しむ。
参加費は大人千円、小中高校生500円、未就学児無料。申込期限は22日だが、先着20人で締め切る。