2014/06/05
Misumiは小水力発電事業に参入する。第1号の水力発電所を鹿児島県南大隅町で9日に着工し、来年11月の完成を目指す。今後、約10年間で水力発電所を主に九州全域で30~40カ所建設する。バイオマス発電も検討する。再生可能エネルギー関連の事業を、主力の石油・ガスのエネルギー事業に続く新規事業の柱に育てる。
九州の南端、大隅半島の南大隅町に建設する「佐多辺塚水力発電所」は最大出力199キロワット。年間発電量は約110万キロワット時で、一般家庭約300世帯分に相当する電力が賄えるという。全量を九州電力に売電し、年間売上高は約3800万円を見込む。JA鹿児島きもつき(同県鹿屋市)などから山林などを購入。総事業費は土地代を含めて約3億円。
同社によると、約60年前に建設された水力発電所跡地を活用、取水ぜきの導水路に新たに管路を敷設して発電装置を設置する。落差62メートルを流れ落ちる水で水車を回して発電する。日常の点検や管理業務は地域住民に委託する。
小水力発電所は一般的に発電能力が1000キロワット以下で、新たに大きなダムを建設する必要がない。天候に左右されにくい再生可能エネルギーとして注目されている。
同社では鹿児島、熊本、宮崎の南九州3県を手始めに、同様の小水力発電の適地を探し、建設を進める。軌道に乗れば九州全県のほか、中国地方にも事業を広げる。10年後には年間で15億~16億円の売上高を目指す。
水の利用については権利が複雑に絡むため、県や市町村に豊富な雨量や保水能力がある未利用地などの適地を探してもらう。さらに木材チップを利用したバイオマス発電も視野に入れる。
MisumiはJX日鉱日石エネルギー系の石油卸。2015年3月期の連結売上高は745億円(前期比10%増)を見込んでいる。鹿児島県を中心に給油所を展開しているほか、工場向けの石油製品やガス製品を販売している。ただ今後、ハイブリッド車の普及やガス事業の自由化で、販売競争が一層激化することが予想されている。有望な再生可能エネルギー分野に進出し、収益拡大を狙う。