2014/02/19
景勝地「福知渓谷」で知られる兵庫県宍粟市一宮町福知の自治会が地域活性化を目指し、渓谷を流れる福知川を利用した「小水力発電」の事業化を計画している。売電による年間収入を約3千万~5千万円と見込み、同市は、2014年度当初予算案に調査費450万円を計上して支援する。関西広域小水力利用推進協議会(京都市)によると、自治会が主体となり、小水力発電に取り組むのは兵庫県内で初めて。(鈴木雅之)
小水力発電は、自然河川を利用した千キロワット未満の水力発電。東日本大震災の原発事故以降、国は太陽光や風力とともに再生可能エネルギーに位置付け、普及を図っている。固定価格買い取り制度の対象で、高低差と豊富な水量が確保できる山間部などが好適地とされる。
計画によると、地元の福知自治会は今夏ごろ、発電を担う運営会社を設立。14年度は福知川の年間水量を測る流量調査を行う。これを基に経済産業省の認定を受け、16年度をめどに、渓谷上流から地下にパイプを埋設するなどして、約120メートルの落差で水を流し、タービンで発電させる設備を整える。
完成時の最大出力は198キロワットを予定。年間発電量は一般家庭約200世帯分に相当し、早ければ16年秋ごろから関西電力への売電を始める。
福知渓谷は紅葉の名所として知られるが、09年8月の県西・北部豪雨で被災。土砂崩れなどが起き、今も渓谷は所々で山肌がむき出しになっている。福知自治会は、売電の収益を市が支出する調査費の償還と、地元の町おこしに充てる考えだ。
同自治会の岡本務副会長(61)は「発電で山の手入れを進めて自慢の福知渓谷を取り戻し、宍粟を元気にしたい」と話している。
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201402/0006719406.shtml
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