2016/07/07
2016年7月7日掲載
ハウステンボス(HTB、長崎県佐世保市)はエネルギー事業を拡大するため、小水力発電の実証実験を秋から始める。発電効率を確認した上で、全国展開し、電力小売事業での自前電源を確保する。エネルギー事業は2、3年後に主力のテーマパーク事業の規模を上回ると想定、資金調達に備えてエネルギー子会社の上場も視野に入れる。
小水力発電は農業用水などを利用して発電するもので、現在大学など外部と共同研究している。9月をめどに佐世保市内に実証機を設置、研究室ベースで確認した発電効率を検証する。その後、数百単位で展開する。
同社は昨年、子会社のHTBエナジーを設立、今年4月から一般家庭や小規模事業者向けに電力小売りに参入した。ヤマダ電機(群馬県高崎市)とも提携、ヤマダが電力小売り契約した顧客に電力を供給する。
エナジーはすでに全国で1万件を超える顧客に電力を供給している。現在は日本卸電力取引所から電力を調達しているが「自前電源を持たないと収益性が上がらない」(沢田秀雄HTB社長)とみている。
HTBエナジーは昨年、大分で地熱発電所を整備、今秋にはパーク内で高効率のガスエンジン発電機を導入し、余剰電力を買電する。ただ、電力小売事業を拡大するには小水力発電を全国展開し、再生可能エネで、卸電力市場に頼らない収益構造が必要と判断した。
HTB単体の売上高は約300億円だが、沢田社長は「エナジーは2、3年でハウステンボスの売上高を超える」とみている。本体の上場は考えていないが、エネルギー事業は小水力発電の大量展開や火力発電所の整備など設備投資額が大きいため、「資金調達のため上場する可能性もある」という。