2015/09/16
2015年9月16日掲載
奈良県葛城市とリコージャパン(東京都港区)は、エネルギーの地産地消により、市施設の電力料金の削減や売電による歳入の増大を目指した小水力発電や照明・空調自動制御システムの実証実験を開始する。将来的には自治体PPS(新電力会社)も視野に入れた事業探索を行っていく。
両者は15日、葛城市民の生活の質の向上と地方創生に向けた連携協力に関する協定を締結したと発表した。今後、本協定に基づき、葛城市の行政にまつわる「コスト削減」に向けた庁内業務改善や様々な実証実験に取り組む。
小水力発電の実証実験は、その第一弾として、本年10月から、健康増進・疾病予防に向けた遠隔健康相談の実証実験とともに開始するもの。今回の協定に基づく施策の概要は以下のとおり。
「地方創生に向けた連携協力に関する協定」の施策
「環境エネルギー分野の実証実験」としては、エネルギーの地産地消を目指した小水力発電の実証実験等を行う。
水道施設を活用した小水力発電の実証実験
10月
市内3浄水場にてポテンシャル調査を実施
11月~12月
調査結果を元に発電量算定と事業化計画立案
1~3月
早期に事業化することを目指し準備を開始
施設の電力量削減を目指した照明・空調自動制御システムの実証実験
10月
現状の電力使用量調査や効果シミュレーションを実施
11月~12月
新庄庁舎の1フロアに機器類を設置し、効果測定
1月~3月
効果分析に基づき、次年度以降の導入計画を立案
リコーのノウハウを活かした業務効率化プロジェクト
葛城市とリコージャパンは、これまでも市の行政コスト削減に向けた共同プロジェクトを2014年度に開始し、主に葛城市庁内の業務の効率化に取り組んでき た。リコーグループの製造現場でのノウハウである5S活動を庁内の業務改善に活用し、事務備品の購買抑制や不要文書の廃棄などで成果を出している。
また、この度葛城市では、市の特色を生かしながら地方創生の理念を具現化するための中核となる戦略として、「葛城市ラボラトリー・シティ構想」を発表し た。今回の両者による協定の締結は、本構想による具体的な協業の第一弾であり、葛城市庁内での業務改善を発展させるとともに、新たな実証実験を進めること で葛城市民の生活の質の向上と地方創生に両者で一体となって取り組んでいく。
現在、多くの地方自治体において、高齢化率の増加による介護給付費・医療費の増大や、生産年齢人口の減少に伴う税収減等の課題を抱えている。この危機的状 況を前にして、企業と地方自治体をはじめとする様々な主体の連携により、新たな行政運営のあり方を模索することが求められている。
葛城市は低コストで質の高い住民サービスの提供を実現するため、これまで自治体クラウドの導入や行政財産の管理による行政コストの削減、情報通信技術 (ICT)を活用したまちづくり等で実績を挙げており、ここ数年人口が横ばい・増加を続ける数少ない地方自治体の一つとなっている。
一方、リコージャパンは、リコーグループの国内販売会社として全国各県に支社を設置し、地域密着で事業を展開している。顧客の経営課題、業務課題を解決す るために、顧客とともに課題を抽出・共有し、さまざまなパートナーと連携・協力して課題解決を支援するソリューションをワンストップで提供する。オフィス 領域で培った課題解決力をもとに、産官学、NPOとの連携・協力を強化して、地方創生・地域活性化に取り組んでいる。
http://mainichi.jp/area/chiba/news/20150916ddlk12020352000c.html