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2014/05/01

土湯温泉に水力発電所が起工【朝日新聞】

●自然エネ事業、地熱は8月着工

 福島市の土湯温泉で、原発事故後の苦境を乗り越えようと計画した二つの自然エネルギー事業のうち、小型水力発電所の起工式が30日にあった。源泉の熱を利用する地熱発電も8月に着工するという。温泉の特徴を生かした新事業には、客足回復への起爆剤としての期待もかかる。

 「全国に先駆けた温泉ならではの取り組み。他の温泉も勇気づけられるのでは」。土湯温泉の復興を目指して2012年に設立された「元気アップつちゆ」の加藤勝一社長(65)は、根本匠復興相も出席した起工式の後、そう語った。東日本大震災後の11年10月から知恵を練ってきた自然エネルギーによる発電計画が、実現に大きく近付いた実感が言葉ににじむ。

 ●客足回復の起爆剤に

 土湯温泉では大震災と原発事故の影響で、16軒のうち4軒の旅館が廃業。10年度は約25万人が訪れた客数は11年度に約6万人まで減り、3年経った今も震災前の半数ほどに留まっている。

 温泉ならではの資源を活用し、新たな観光資源を作れないか。そんな発想で、設置を目指してきたのが二つの発電所。今回着工される「東鴉川(ひがしからすがわ)小水力発電所」は、土湯温泉を流れる源泉の約45メートルの落差を利用し、毎秒0.45トンの水で水車を回す仕組み。一般家庭約100世帯分の電力をまかなえる。発電した電気は当面は全て売却するが、将来的には地熱発電とともに、温泉街内での電力の自給自足にあてることも視野に入れている。

 12年に事業計画が知られるようになってから、再生可能エネルギーに取り組む多くの企業やNPOの関係者が、視察も兼ねて温泉を訪れるようになったという。加藤社長は「景観と伝統がそろった温泉街に、新たな観光資源ができる。全国のお客さんにぜひ来て欲しい」と話した。(佐藤啓介)

http://www.asahi.com/articles/CMTW1404300700004.html

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