2014/03/17
再生可能エネルギーを普及しようと、自前の小水力発電システム開発に取り組む鹿沼市の市民団体「鹿沼自然エネルギー推進会」が十六日、同市府中町の黒川で、改良を重ねた新型の小水力発電装置を公開した。実用化までには依然、課題が多く残るが、鈴木貢(みつぐ)会長(65)は「着実に前へ進んでいる」と話している。(石井紀代美)
同会は、東京電力福島第一原発事故を受け、再生可能エネルギーへの注目が高まった二〇一二年六月に発足。市内の電気設備会社社長で、過去に途上国で水力発電を設計した経験がある金子一郎副会長(64)が中心となり、安価で、水量の少ない水路でも設置しやすい小水力発電の開発に取り組んできた。
同会の小水力発電は、川の水をダクトに取り込み、水流の勢いを約四倍に増加させた水を水車にぶつけて回転させるのが特徴。この日お目見えした新型は、昨年二月に実証実験を行った実験機に改良を加え、水車に水が効率よく当たるようにダクトの先端部を工夫したり、ダクトを固定するボルトを強化したりした。
この日は、同会メンバーや近隣住民ら計約三十人が参加。ダクトに水を取り込ませると、水車が水しぶきを上げながら勢いよく回転。接続した三個の電球(計六百ワット)が点灯した。
事前の実験では、六百六十ワットの発電能力があることを確認しているが、金子副会長は参加者らに「実用化するには三キロワットまで高める必要がある」と説明。「理論上は可能。そうすれば電気自動車の充電やイチゴハウスの照明、防犯灯などの電力として使える」と話した。
実現するためには、水車が回転する性能の向上や、低い回転数でも発電できる発電機が必要とも訴えた。鈴木会長によると、法的な規制から、十~三月しか実験機を設置できず、年間を通してデータが取れないことも課題。鈴木会長は「住民には、取り組みが認知されてきた。今後も努力を続け、ハードルを乗り越えていきたい」と実用化に意欲を見せた。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/20140317/CK2014031702000144.html
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