2014/02/14
「神の水」と尊ばれた湧き水で動かす小水力発電の点灯式が、甲賀市土山町の史跡「御場泉(おんばせん)」であり、事業を主導した大野地域自治振興会のメンバーらが参加した。振興会は「伝説の地を新たな形で残したい」と意気込んでいる。
御場泉は国道1号近くの雑木林の斜面下にひっそりとある湧き水。諸国巡行でこの地に滞在した倭姫命(やまとひめのみこと)の飲用に、湧水が献上されたという伝説がある。
地域の歴史散策のポイントの一つになっていたが、周囲は竹が生い茂り荒れた状態だった。再生可能エネルギーへの関心の高まりもあり、振興会の産業振興部会が中心となって小水力発電と合わせた整備を企画した。
昨年十一月に着工し、作業にのべ百人以上が参加した。竹やぶや雑草を刈り取り、湧き水に下る階段を整えた。泉は石積みで囲い、水を導くU字溝を整備し、発電機一基を設置した。
事業費は約三十七万円で、半分は再エネを地域に導入するための市の補助金を使った。
一基で得られる電力量は数ワットと少なく、当面は泉を照らすLED灯に使われる。発電機の増設や、散策に訪れる人のための看板の設置も検討している。
郷土史に詳しい広沢晃さん(77)は「伝説の地の景観を壊さず、新しい時代の泉の活用を見出した意義は大きい」と評価。振興会の松井貞夫会長(67)は「地域の資源を使ってこうしたことができることを次の世代に伝えたい」と話した。
(小川直人)
http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20140214/CK2014021402000030.html
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