発電所が生まれた背景

NHKでは、経営方針の一つとして掲げられている環境経営に基づいて、省エネ型の機器の開発を進めている。その一環として、放送センター内のスタジオや事務室等を冷暖房する空調設備の配管に小水力発電設備(マイクロ水力発電システム)を導入し、2008年5月7日から運転を開始しています。

この小水力発電設備では、ビル内の空調機を冷却するために使われる循環水を利用し発電しています。

この循環水は、地下にある蓄熱層に溜められており、空調設備を冷却するために、ポンプを使って上層階へと運ばれる。そして、冷却水として使われた水は、パイプを通り地下の蓄熱層に落とされる。その位置エネルギーを利用して発電する。

循環水の流量は、外気温の変化や各階の空調機の稼働状況により大きく変動する。そこで、このマイクロ水力発電システムの発電では、2台の水車発電機を設置し1台単独、2台直列、2台並列に自動運転する制御法を開発し、流量の変化に適した高出力の発電が出来るよう工夫している。

NHKによると、2008年5月7日から系統連系による運転を開始し、2008年度の1年間で発電した電力量は44,437kWhを発電しました。2009年度は40,278kWhとなり、2年間で約47t-CO2(CO2換算係数:0.555kg-CO2/kWh)のCO2削減効果が得られたそうだ。特に、冷房を多用する7月8月では、一ヶ月に5000kWh以上の発電量となっている。

福岡放送会館でも、2008年度に空調用冷却水の落差を利用したマイクロ水力発電設備を導入し運用を開始している。年間の発電量は約8000kWhで、全て建物内設備で消費しています。

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スペック

最大出力 7kW(3.5kW×2台)
水車型式 縦軸単段フランシス水車
発電機形式 誘導発電機
最大使用水量 0.0445m3/s (2.67 m3/min)
有効落差 33.58m
発電開始日 2008年5月7日
使用用途 自家消費

NHKでは、1999年に「NHK環境自主行動計画」を策定し、これらに基づき環境に配慮した事業運営に取り組んでいます。福岡放送局の発電装置、表示装置(ロビーに設置)

所在地 福岡市中央区六本松
水車形式 縦軸単段フランシス水車
発電機形式 誘導発電機
定格水量 3.2立米/min(最大使用水量は規定せず)
有効落差 28.0m
出力 9kW
開始年月 2009年1月

そのほかにも、下記のような企業が導入しています。
富士ゼロックス(株)岩槻事業所
河川・用水名 工場の空調設備の冷却循環水を利用

発電出力 4.8kW (2.4kW×2台)
有効落差 26m(13m×2台)
使用水量 1.0m3/min
水車型式 横軸フランシス水車
発電機 同期発電機
発電開始年月 2003年 9月

デンソー西尾工場

河川・用水名 工場排水
発電出力 3.5kW
有効落差 16m
使用水量 0.0423m3/s
水車型式 横軸フランシス水車
発電機 車両用オルタネータ発電機
発電開始年月 2002年 10月