発電所が生まれた背景

小早月発電所は、初期投資費用およそ10.5億円のうち、約5割を市民出資でまかなう小水力発電です。つなぎ資金として別途2億をファンドでまかなうほか、環境省からは、事業費の50%補助を受けています。ファンドは、太陽光発電の市民出資事業で実績のあるおひさまエネルギーファンド株式会社の協力を得て運用されています。2010年からファンドを募集し始め、東日本大震災の影響による、自然エネルギーへの関心の高まりにも後押しされ、2011年11月までにほぼ予定をクリアしました。売電を目的とした事業を、市民出資による調達でまかなったことでも注目を集めました。

富山県東部を中心にさまざまな河川や用水を調査・検討し、二級水系早月川支流の小早月川に小水力発電所の建設を決めたのは2005年にさかのぼります。富山県内の地元経済人が集まり、小水力発電を目的として設立した事業会社「株式会社アルプス発電」は、「先人が残してくれた豊富な水資源を利用して小水力発電所をつくれないか」という思いが結集させたものです。 ところが、富山県内の小水力発電の多くは、大手電力会社のダム建設と土地改良区による農業用水路の開発によるものでした。同じ小水力発電の開発とは言え、土地改良区による小水力発電は、その収益で農家の負担軽減を図ることが目的とされています。収益を目的とした前例がない中、取り組みはすべて手探りから始まりました。

事業進展の肝となったのは、小水力発電に関わる多くの人たちとの出会い。また、情報収集する過程で、小水力発電には、突出した高度な技術は必要ないこと、権利や規制による制約が多いことなども一から学んでいったそうです。
地域への説明会では、川の水量が減ることに大きな懸念が示されたり、滑川・魚津両市にまたがる水利権の申請も二転三転しました。取水口がある砂防堰堤から2.8km下流に設置する県道と私道に及ぶ発電所までの配管を通すため、土地の保有者20軒以上を回って理解を求めました。小早月川での小水力発電建設を決定し、水量調査、測量、基本設計、関係各所への提出準備を進めていったが、当初見込んでいた国の補助金は認可が下りず、事業の凍結が懸念されました。しかし、そんな折、環境省の平成21年度「二酸化炭素排出抑制対策事業等補助金 市民共同発電推進事業」を紹介いただいたのも、この間の出会いによりもたらされました。

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スペック

発電所名 小早月発電所
河川・用水名 早月川支流 小早月川
発電出力 990kW
有効落差 101.67mm
使用水量 1.25m3/s
水車型式 横軸単輪複射ターゴ水車
発電機
発電開始年月 2011年4月1日

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