ニュース記事の詳細です。

2013/12/25

新潟で小水力発電計画広がる 豊富な農業水路を活用【日本経済新聞:2013/12/25 】

 農業用水などを利用し、水車を回して電気をつくる「小水力発電」施設の計画が新潟県内で広がっている。県内では、魚沼市などで新たな施設の設計が進むほか、普及に向けた検討組織も相次いで立ち上がった。農業用水の豊富な新潟は小水力発電が普及する可能性は大きいとされるが、導入コストが大きいため、採算性の面では課題も残る。

 現在、南魚沼市と津南町で、最大出力がそれぞれ3キロワット、9.9キロワットの発電設備が実証試験中だ。2013年度中には、県が関わる農業水利施設などを活用した小水力発電設備の設計計画が魚沼市など5カ所で進む。

 自治体や農業用水などを管理する「土地改良区」が実施主体となり、水の落差や流れを利用して発電する。最も進んでいる魚沼市土地改良区では14年度中に設備を設置する見通しだ。同設備は出力が55キロワットと試験中の設備に比べて大きい。

 新潟県は主要な農業水路の延長距離が北海道に次ぐ全国2位の2681キロメートル(09年度)と小水力発電が広まる素地がある。こうした背景から県は8月、有識者などでつくる「農業水利施設を活用した小水力等利用促進検討会」を立ち上げた。

 検討会は県内で小水力発電に適した場所を10地点ほど調査しており、導入の可能性を探る。民間や市町村、土地改良区を中心とした協議会も設立され、各機関が連携して普及を進める考えだ。

 小水力発電施設は再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度を活用した売電だけでなく、農業用ハウスの照明など農家での自家消費のニーズも高い。河川法の改正に伴い、12月から農業用水を利用して小水力発電を導入する際、国や都道府県からの許可が不要になり、登録だけで済むようになった。従来は水を実際に利用できるようになるまで5カ月かかったが、法改正で1カ月に短縮されるなど、制度面でも追い風が吹く。

 ただ、採算が合うかは不透明な部分もある。発電機の導入コストは100キロワットの場合1億円程度とされるが、「実際にはさらにコストがかかる場合もある」(県農村環境課)という。太陽光発電パネルと異なり量産化が進まず、「特注品」になることが多いためだ。

 新潟県は水資源が豊富な一方で、土地の制約上、「設置できるとすれば100キロワット以下の発電機が多い」(同)という。規模が小さければ収益性も低くなる。実験の域を抜け出し、本格的な普及が見込めるかは不透明な部分も残る。

http://www.nikkei.com/article/DGXNZO64524140U3A221C1L21000/

お問い合わせ
候補地点についてのご相談や、「小水力」に関するお問い合わせ、 当サイトへのご連絡は、こちらより承ります。
お問い合わせはこちら