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2015/06/24

水力発電の灯 再び【読売新聞】

◇東吉野に新会社 来春稼働へ
◇売電収益で林業活性化

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半世紀前まで稼働していた「つくばね発電所」の水路を支えたコンクリート(東吉野村で)

 東吉野村小おむら地区の山あいで約50年前まで稼働していた小水力発電所「つくばね発電所」を復活させようと、地元の漁協や森林組合の役員らが新会社「東吉野水力発電」を設立した。28日に起工式を行って新しい施設の建設に着手し、来春にも稼働。売電による収益は、同村の林業などを活性化するための基金として活用する。関係者は「山村に明かりをともした先人に思いをはせながら、村おこしに役立てたい」と意気込んでいる。(熱田純一)
 つくばね発電所は、地元の有力者が設立した会社が、1914年に運転を始めた。最大出力45キロ・ワットと小規模ながら、製材業の発展や地区住民の生活を支えたという。老朽化で1963年に廃止されたが、標高400メートルの山中には、水路を支えたコンクリート製の土台などが今も残っている。
 計画では、元の発電所の場所に約30平方メートルの木造平屋を建設。発電機と水車を設置し、ガラス張りにして見学できるようにする。近くの日裏川から取水する導水管や水路を山中に敷設。約100メートルの落差を利用して水車を回転させ、発電する。
最大出力は82キロ・ワットで、発電量は約100世帯分。全て関西電力に買い取ってもらう。売り上げは年間約2200万円を見込んでいる。施設の維持管理などで、3人ほどの雇用も創出できるという。
 総事業費は約2億円。金融機関からの借り入れのほか、1口約3万円の小口融資を市民から募って資金を調達する。出資者には利益の一部を還元する。吉野地域の振興を図るプロジェクトを進めている市民生活協同組合・ならコープの関連会社・CWSも出資するなどして支援している。
 同地区在住で村議を務めた同社の森田康照社長は「つくばね発電所はおもちゃのような規模だったが、山村に電灯がともり、製材業が盛んになった」と振り返り、「子供たちが山と川のある環境を学ぶ場にしたい。元気な村づくりのため、お手伝いしていきたい」と話している。
2015年06月24日 Copyright © The Yomiuri Shimbun

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