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2015/05/20

上伊那美和土地改良区 小水力発電所が起工【長野日報】

更新:2015-5-20 6:00
 伊那市長谷の上伊那美和土地改良区(北原幸彦理事長)の農業用水路を活用した小水力発電所の起工式が19日、長谷非持の建設予定地で開かれた。秋ごろ完成、年度内の発電開始を目指す。再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度を活用し、発電した電力は全て売電、収入を農業用水路の維持管理に充てる計画だ。県土地改良事業団体連合会によると、土地改が事業主体となって取り組む小水力発電は県内初で、「今後のモデルケース」(同連合会)として注目される。
 三峰川支流の黒川から取水する農業用水を活用。斜面に設置されている用水路をバイパスする形で管路を設け、発電機に水を送って発電する仕組みだ。有効落差は13.1メートル。使用水量は毎秒0.16立方メートル。発電出力は12.2キロワットを見込む。かんがい期以外も用水路を保護するため水を流し続ける維持用水も兼ね通年発電する計画だ。
 取水した水をいったんため、流量を調節したり、砂やごみを取り除くヘッドタンクと呼ばれるコンクリート製の水槽は既に完成。今年度は発電所の本体工事を行う。発電所は鉄筋コンクリート地上1階・地下1階の建物で、地下部分にスクリュー水車形式の発電機を設置する。
 総事業費は約1億円。国などの補助を受ける。設計、監理を同連合会、施工をヤマウラが請け負った。
 起工式には土地改や市、県、施工業者の関係者など約35人が出席。北原理事長は「(売電収入で)組合員の負担が少しでも軽くできるよう一生懸命運営していきたい」とあいさつした。
 農業用水路を管理する土地改は施設の老朽化に伴い維持管理の負担が大きくなっていることから、農業用水路を活用した小水力発電に着目。売電収入を充てることで負担軽減を図る狙いだ。
 河岸段丘や急峻(きゅうしゅん)な地形に設けられた上伊那地域の農業用水路は高低差を利用した小水力発電に適しているとされ、県上伊那地方事務所は2013年度に「上伊那地域農業生産基盤再生可能エネルギー活用研究会」を設置し、小水力発電の可能性を検討。美和など2カ所の土地改で実現性が高いと判断された。
 このうち、同市富県の春富土地改良区では、県営かんがい排水事業の一環で整備を計画。秋ごろ工事に取り掛かる見通しという。

http://www.nagano-np.co.jp/modules/news/article.php?storyid=34229

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