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2014/12/02

神戸大 篠山からの挑戦【中】まちづくり【神戸新聞】

らせん状の水車を使った発電の実演に見入る住民ら。神戸大生の呼び掛けで取り組みが始まった=篠山市中

らせん状の水車を使った発電の実演に見入る住民ら。神戸大生の呼び掛けで取り組みが始まった=篠山市中

8月、兵庫県篠山市西部の中山間に位置する大芋(おくも)地域。狭い農業用水路に、住民手作りの発電用水車10台が設置された。

「わあ。回った!」。子どもから歓声が上がる。材料は、照明用発電器を取り付けた自転車のホイール。小学生から高齢者まで55人が集まって約3時間で完成させた。

近くに住む村山紳一さん(63)は「これまで集落の若い人と話す機会がなかった。多世代が集まる貴重な機会になった」と喜ぶ。

水車作りを提案したのは、神戸大学発達科学部4年の瀬戸大喜さん(22)。篠山で昨年授業を受け、今年4月、市が任命する「地域おこし協力隊」となった。篠山に住み地域活性化に取り組むのが任務だ。

担当する大芋をまず回った。川や水路が多いのに気付いた。「この豊富な水資源を生かせないかな」。インターネットで調べるうちに行き当たったのが「マイクロ水力発電」。出力100キロワット以下の発電のことを呼ぶ。

早速、先進事例を調べ、関西で10カ所のマイクロ水力発電に携わる京都市立伏見工業高校の足立善彦教諭を訪ねた。8月に足立教諭を招いて地域の水路で水 車の発電を実演。初めは「水車で何ができるんやろか」と見ていた住民も「ここの水路も使えるんちゃうか」とすっかり夢中になっていた。将来的には、サルや シカなどによる作物被害を防ぐための電気柵の電源に利用する。

地域内にある大芋小学校は全校児童24人。統廃合の議論が進んでおり「若い世代が住まなくなってしまわないだろうか」と大芋自治会長会の矢野智会長(68)は気をもむ。子どもや若い世代と地域との関わりをどう継続していくかが課題となっている。

瀬戸さんが考える次の企画は、地域と高校生が交流する仕掛けづくり。小水力アイデアコンテストを開き、1年間通して高校生に訪れてもらう。参考にしたのは、愛知県や福井県などでの事例だ。

「生かせそうなアイデアはどんどん取り入れたい」とフットワークは軽い。「参加者の中から継続的に関わりたいという人も出てくるかもしれない。僕みたいにね」。地域と人をつなぐ懸け橋役を担っている。(井垣和子)

〈地域おこし協力隊〉 地域外の人材が高齢化の進む市町に移住して活動する総務省の事業で、2009年度以降、全国各地で取り組みが続く。篠山市は今年 4月、市内で活動実績がある神戸大学の学生ら4人を任命。授業や研究を実践につなげている。同市の場合、特別交付税などから隊員1人当たり1カ月9万6千 円の報酬、活動費が年間上限200万円支給される。期間は1年更新で最長3年間。

http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201412/0007549387.shtml

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