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2014/06/30

明電舎が水力発電事業を拡大へ イームル工業への出資比率を33%へ引き上げ【電気新聞】

明電舎は水力発電事業の拡大を図る。今年4月に各事業部、支社・支店に分散していた水力事業を統括する専門組織として「水力発電事業推進部」を設置し、営業窓口を一本化した。7月には中国地方の水車メーカーであるイームル工業(広島県東広島市、中井雄三社長)への出資比率を15.6%から33%へ引き上げて、筆頭株主になる予定。当面は国内のFIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)に基づく中小水力案件に集中するとともに、2020年頃から本格化する国内既設案件の更新需要の対応へ体制固めを急ぐ。

 明電舎の水力事業では、水車の主要調達先だった荏原が11年に水車事業から撤退したことで、新たな調達戦略の構築が求められていた。イームル工業への出資比率引き上げにより、技術面での連携をさらに深め、西日本中心だった同社の販路を全国や海外へと広げる。

 FITに基づく国内の中小水力市場は、「水利権などの条件を整える関係があり、太陽光などと比べ出遅れていたが、ここにきて急速に市場が立ち上がりつつある」(三井田健・明電舎取締役兼専務執行役員)として、得意とする200~2千キロワットのレンジを中心に、明電舎の可変速型の永久磁石発電機と変換装置、イームル工業の水車を組み合わせたシステムを展開する考え。稼働率を従来比で1~2割高め、ライフサイクルコストに優れた特長によって、同業他社との差別化を図る。

 また、自治体などのBCP(事業継続計画)ニーズに対応した無瞬断切り替え機能付きの自立運転型の水力発電機の開発も進める方針だ。

 これと合わせて、20年以降の国内既設案件の更新時期に向けた体制強化も急ぐ。明電舎が創業以来手掛けてきた国内案件は約400件。これらが全面更新を迎える時期を見据え、イームル工業の水車効率向上や製品の品ぞろえ拡充に加え、大容量への技術開発などを3年後までに実施する。イームル工業との人材交流にも着手し、相互の知見やノウハウを吸収、中途、新卒を含めた水力人材の採用も積極化する。

 明電舎は昨年末、ODA(政府開発援助)案件としてラオスで約13年ぶりとなる海外水力プラントを受注した。出力は450キロワット。海外でもODA案件を中心に、年1~2件の中小水力の受注を目指す。17年度には国内のFIT、既設の改修・オーバーホール、海外事業など水力分野全体の受注高を年60億円と、直近の3倍に引き上げたい考えだ。

※紙面から転載

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