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2014/06/19

小水力発電の電力を競争入札に、固定価格買取制度よりも有利になるか【スマート・ジャパン】

法制度・規制:小水力発電の電力を競争入札に、固定価格買取制度よりも有利になるか
山梨県の企業局は2014年9月に運転を開始する小水力発電所の電力を一般競争入札で売却する。固定価格買取制度よりも高い価格を想定して実施するもの で、契約期間は2016年3月までの1年7カ月である。買取制度の認定を受けて20年間の最低価格が保証されると、長期的にも有利になる。
[石田雅也,スマートジャパン]
一般競争入札で電力を売却する対象の発電所は、山梨県の企業局が建設中の「大城川(おおしろかわ)発電所」である(図1)。山梨県の南部を流れる大 城川に設けた砂防ダムからの水流を生かした小水力発電所で、発電規模は49kWになる。2014年9月1日に電力の供給を開始する予定で、年間の発電量は 37万5100kWhを想定している。

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図1 「大城川発電所」の位置。出典:山梨県企業局

この電力を2016年3月31日までの1年7カ月間に限定して、一般競争入札で売却先を決める。入札予定価格は1kWhあたり34円(税抜き) で、固定価格買取制度の価格と同じだ(図2)。7月10日に開札して、予定価格以上の最高額を提示した入札者が落札する。想定通りの発電量であれば、年間 の売電収入は1275万円以上になる。かりに1kWhあたり3円高い価格で売却できると、年間に約100万円の収入増につながる。

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図2 固定価格買取制度による中小水力発電の買取(調達)価格。出典:資源エネルギー庁

山梨県の企業局によると、発電開始までには固定価格買取制度の認定を受けられる見通しで、20年間にわたって34円の固定価格で買取が保証され る。合計して2億5500万円の収入を確保したうえで、さらに競争入札によって収入の増加を図る狙いだ。2016年4月からの売却分に関しては、改めて一 般競争入札を実施する。

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図3 増水時の「大城川」。出典:山梨県県土整備部

山梨県ではダムや上水道を利用した小水力発電の導入事例を増やしていく方針で、大城川発電所はモデルケースの1つになる。大城川が流れる山梨県の 南部は地層が脆弱なうえに年間の降水量が非常に多く、土砂災害の発生しやすい地域である(図3)災害を防ぐために大城川には砂防ダムを設けてあり、そのダ ムからの水流を小水力発電に利用する。

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