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2014/05/09

地熱と小水力のダブル発電へ、福島の温泉町が風評被害を乗り越える【スマートジャパン】

福島県の中通りにある土湯温泉は震災と原発事故による風評被害を受けたために、16軒あった旅館のうち5軒が廃業してしまった。温泉町の再生に向けて、地元の温泉事業者などが地熱発電と小水力発電のプロジェクトを立ち上げ、2015年の稼働を目指して2つの建設工事を開始する。
[石田雅也,スマートジャパン]

 山に囲まれた渓谷にある土湯温泉町の2カ所で、再生可能エネルギーの導入プロジェクトが進んでいる。1つは温泉街の中心部を流れる「東鴉川(ひがしからずがわ)」の堤防を生かした小水力発電(図1)、もう1つは町内に数多くある源泉の1つで地熱発電に挑む。

図1 土湯温泉町を流れる「東鴉川」。出典:土湯温泉町復興再生協議会

 このうち東鴉川の小水力発電設備の建設工事が4月30日に始まった。川に設けられた砂防用の堤堰による高低差を利用して発電するもので、上流の取水口から取り込んだ水を発電所に引き込むために水圧管路などを設置する(図2)。

図2 小水力発電事業の全体像。出典:復興庁

 発電能力は140kWを見込んでいて、2015年3月に運転を開始する予定だ。発電した電力は当面のあいだは固定価格買取制度を通じて電力会社に売電する。このプロジェクトは被災地の雇用創出と関連産業の活性化を図るために、国が支援して再生可能エネルギー発電設備の導入を促進する事業の補助金を活用した。

 一方の地熱発電は国の財政投融資の対象に選ばれて、7月に着工する計画だ。温泉街から2キロメートルほど離れた場所にある「16号源泉」に、低温の蒸気でも発電が可能なバイナリー方式の設備を導入する(図3)。発電能力は400kWで、着工から1年後の2015年7月に運転を開始できる見通しである。

図3 土湯温泉の位置とバイナリー方式の地熱発電設備。出典:石油天然ガス・金属鉱物資源機構

 土湯温泉では電気自動車による路線バスを運行することも計画していて、エネルギーの地産地消を推進する「エコ温泉」を掲げて観光客を取り戻す考えだ。将来は小水力と地熱のダブル発電で温泉全体の電力をまかなえるようにする。

http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1405/12/news022.html

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